鉾岳スラブ 〜オアシスに咲くササユリ〜  (2009年6月7日)

■6月初旬、入梅まで僅かに猶予をもらった九州地方。寸暇を惜しむように広がる青空に新緑色の山肌が映えわたる時、
 火の国九州のシンボル、阿蘇・久住・霧島の山々には
ピンクのスプレーを吹きかけたかのようなミヤマキリシマが山全体を
 染め上げる。
 年に一度、風化した火山岩の砂礫に羽を休める朱色絢爛な鳳凰のようだ。

  一方、宮崎県北部に点在する無機質な花崗岩一枚岩の岩峰に容赦なく降り注ぐ太陽は、花崗岩スラブの温度を上昇させ、
 華やかさとは無縁だが「青空・白岩・深緑」の爽やかなコントラストを照らし出していた。

 見た限り俎板のように凹凸の無い花崗岩一枚岩のほんの微かな割れ目に根ざした松の木は、岩の隙間を縫って深く根を張っている。
 オアシス・・・それは砂漠の真ん中に忽然と現れる水と緑の楽園。。。無機質な花崗岩スラブの合間に現れる1畳程のくぼ地に長い
 年月を経て溜め込まれた僅かな土壌。一見過酷ともとも思われる岩棚のオアシスにササユリは咲くという。

 スラブの海原に咲く紅一点、季節限定の風景を探しに参りましょう。


■緊張感に包まれ登山道に取り付く。「鉾はホンチャンだよなぁ〜・・」 美しきトラバース取り付き点。1ピッチ目にザイルを伸ばす。先にはクライマー集団「鹿川・庵」の
 凄腕クライマー達が攀じっていた。 九州を代表する一枚岩のスラブ・・フリクションを確かめながら登ろう・・奇跡のササユリを観に♪


■1・2・3・ピッチ、スラブ登り・・ グレードの問題では無い。 鉾のスラブのフィリクション、ピンの少なさ、一歩の勇気。  ■まだまだ快適に登攀する綾吉。


●残念ながら2ピッチ目のオアシスのササユリはもう盛りを過ぎていた・・・しからば、後は7ピッチ目終了点に期待を込めてザイルを伸ばす。4ピッチ目リード綾吉&ミチヲ。
  


■微妙なクライムダウン・・一歩進めると道が開けるような気がする。              ■トラバースにクライムダウンは、リードもフォローも同じ苦労だ。
  


■美しきトラバースの佳境地点・・・時に快適に、後に冷や汗交じりに・・^^;      ■ピッチ終了点にて、ハラハラ冷や汗からしばし開放される瞬間
  
   ■ビビル@アヤキチ
   


■中央バンドへ登り上がりのピッチX- ・リード@ミチヲ   ■美しきトラバースは、ここから直上・・X/A1。 人工の準備もしてきたが今回は更にトラバースを続けオアシスへ。
 


■とても印象的な爽快スラブ・・ ミチヲ



      ■綾吉、渾身のクライミング。 一生懸命です。
      


            ■素晴らしいスラブのトラバース。
            



     ■辿り着いた先のオアシスには、小さなササユリのお花畑が広がっていた。         ■後姿も凛々しい鉾岳のササユリ
             


■貴婦人の名を欲しい儘に・・・
 ■良くぞココまで辿り着いた・・ササユリもこの地にあっては盗掘もされないでしょう。
  笹の葉っぱと同じ葉を持つササユリ・・辺りの笹と同化しているが、なぜこんな葉の形に
  成ったのだろう。 僕はこの後姿は将に「歩く姿はユリの花・・」の凛とした感じが好きだ。
     しかしながら、ここまでのクライミングも中々痺れる物がありました。
  珍しく綾吉っちゃんが 「お腹一杯になりました・・^^;」と食欲が無いフリをしていましたが
  やはり、行動食はしっかり食べてたかな♪  
  さて、岩だなに咲くササユリも鑑賞できたので、ここから山頂まで爽快に抜けよう!
  だが、ここからの2ピッチがルートの核心だ・・・^^;
                   
                                                      ●ミチヲのスパイア・綾吉のイボルブ・私はアナサジ・ベルデ。



                ■核心・大長征の9ピッチ目は、大滝左ルートの6ピッチ目に合流する。X級・・・何とかフリーで抜けたが痺れる。 
 
●ピン間隔が遠い・3ピン目手前ではフリクションを信じて・・歯を食いしばっての登攀。ヌンチャクかけたら口の中で血の味がする・・舌の先噛み切ったみたい・・^^;必死です。


■フォローで間隔を掴む二人。                                  ■続く10ピッチ目・X+ /  ミチヲ気迫のリード。
 


■11ピッチ目のトラバースを抜け3の坊主基部が実質上のルート終了点。ここから直進すると下降路へ。 今回はもう1ピッチ延ばして雌鉾岳山頂に抜ける!

   最終ピッチは右壁のクラックを登り上げた。 青空に向かって爽快なクライミング。  山頂に抜けて充実感に満たされるミチヲと 半ば放心状態の綾吉・・・♪


     ■山頂でのひと時・・・薩摩魂のTシャツで決める!                 ■雌鉾岳山頂!皆さんお疲れ様でした!素晴らしいクライミングでした!
             

   ■鉾岳スラブ・大長征は実に素晴らしいルートでした。今回3名での変則ツルベでの完登は、我らにとってはとても厳しく、一生懸命になれました!ササユリ鑑賞で
    気を紛らわすのがせめてもの救い・・・気持ちも折れずに最後まで抜けれて本当に良かったです。 やっぱりココ「鉾岳スラブ」は ホンチャンのように思います。
    マルチルートを抜けた・・・と言うよりも、厳しいラセッル混じりの雪山ルートを一本取った!・・と言うような充実感、胸のゾワゾワ感が残りました。 
    舌噛んで血でたのも初めてだし・・^^;  それでは皆さん またスラブのオアシスでお会いしましょう♪
   







          
●ぶぅぶぅ綾吉                             ●パヒューム@ミチヲ                       ●マーキング@SG







■時  期  :  2009年 6月 7日
■ルー ト  :  鉾岳・大長征ルート
■メンバー  :  ミチヲ、 綾吉、 SG





                                                       






































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