中央アルプス・奥二又沢〜 空木岳 − 越百山縦走       (2009.09-19〜22)
■2009年9月・・・今年の目玉シルバーウィークと称する初秋の大型連休の週に突入! 一週間ほど前までの天気予報はとても微妙でその上に台風14号
までトグロを巻く始末・^^; 一時はどうなる事かと思っていましたが、蓋を開けてみると前半戦はこれまた完璧な快晴◎ 日本列島を広く覆った高気圧は
各地で見事な秋晴れを演出してくれました。 
さてそんな中、今年の我らの沢登り遠征の候補地は、『中央アルプス・空木岳西斜面』に食い込む奥二又沢。伊奈川渓谷から緩く蛇行しながら空木岳山頂直下
に突き上げ、上流に向うにつれて傾斜も増してきそうな等高線とポツリポツリと見受けられる滝・岩稜マークが興味をそそる。遡行記録が無い所もまた良いし
上の二股から右股の「中山沢」を取ると、源流部はお花畑やら天国のカールを連想させる地形にも見える!?更に空木岳に突き上げた後、中央アルプス中南部
を縦走して周回する絵が描けるのも、我らお上りさん遡行者には嬉しい事だ。将に初秋を味わう癒しの沢旅・・・天国の詰めを淡々と遡行し森林限界を超え目前に
迫る稜線が秋空に映える・・そんなメルヘンチックな夢を見ておりましたが・・・そこに在ったのは 「天国」か・・・はたまた「地獄」の●●か♪

今回、中央アルプス沢登り遠征隊の面子は、 脱臼@天唐渓遊、 教頭@ミチヲ、 自然児@マツジュン、食欲旺盛@綾吉、に私の5名構成。
秋の便り聞こえてくる初秋の渓に溶け込んでは、夜空に煌く星座のつぶやきに夢を繋ごうではありませんか☆

■伊奈川ダム駐車場から出発、最初は≒2時間の林道歩き・^^;途中休憩を挟みながら目指す奥二又沢に入渓! とにかく物凄い水の綺麗さに感激!無味無臭♪

●伊奈川ダムの駐車場で沢身に整えこれから三日分の装備をザックに詰め込む。 初日の行動はまず林道歩きを≒2時間〜入渓してから夕方まで遡行しテンバを探す。
おしらく初日の渓相はそこそこ穏やかと見るがどうだろうか。 夜の焚火のお供のアルコールも少しばかり忍ばせていざ入渓! どこまでも透き通る清冽な水の冷たい事!



              ■日頃の行いの良さにより初日から青空が広がりました! 綺麗な水に白い岩が映える・・・が、水は超ぉーー冷たい☆ 
 
 ■エメラルドグリーンの水を湛える釜。
 

■平常時より随分水位は低い・・と思われるが、それでも水圧は凄い! 極めて透明度の高い綺麗な流れに渓の妖精”イワナ”も走る。水の冷たさにタジログ綾吉^^;
 

 

■奥二又沢の元気な岩魚


 ■この渓谷に流れる綺麗な水と青空・・白い岩と対比する深い原生林を眺めていると、
 登攀とか、滝登りとか、 ゴルジュ・・とかそんな物はどうでも良いと心底思えてくる。
 今はココにある極めて綺麗な渓谷に、 少しでも長く浸って同化していたい・・・と、
 ただそれだけである。皆も同じ考えのようだ。
 清冽な流れに磨かれたこの地のイワナには、また別格の光沢・・オパールの
 ような複雑な色合いを放っていた。
 
 今回は最低限度のイワナ・・渓からの恵みを頂く予定だったが、ちょっと釣れる時間が
 早すぎたので全てリリース、15:00から先にキャッチできたイワナのみありがたく頂戴
 する予定でしたが・・・ この後の魚止の滝から上流にイワナは走らなかった・・・^^;



 


                         ■花崗岩を穿って流れる樋状の流れ。 この渓谷もステルスがよく決まる。
 

■初日の核心部、釜付きの2段滝!1段目はスラブ、2段目は噴出しの物凄い水流だ!水に浸かる時間が長いと痺れてきますねぇ〜・・^^; これが実質上 魚止の滝だ。
 
 ■冷たい水を物ともせず、ここは綾吉が先頭でスリングを引張り、釜を突破!お見事★
 


■滝を越えるとそこには癒しの泉・・・岩清水を湛えた美しい Pond♪               ■続くチョークストーン滝もフリクション効かせて
 


■中アの奥深くへ淡々と遡る。 今回のメンバー全員ファイントラックのインナーとアウターを装着。私とミチヲ以外はファイントラックのアンダータイツで武装した・・・
 
 ■ファイントラックで固めた皆さん、冷水対策は万全、冷たさに強かったようです。
 

■大岩の陰にテンバ適地発見! まずばビール冷やして・・☆

■淡々と遡行する事しばし時間も15:00前後、そろそろテンバを探しながらの遡行にするとすぐに
 そこそこのテンバ発見! ちょっと時間も早いが今日はココまで、中々来る事もないアルプスの
 深い渓谷沿いでゆったりとした時間を過ごすのもまた佳し!
 そうと決まれば早速フライを張って野営の準備、シートもバッチリ、焚き火の薪も拾えました。
 それから、今夜のメイン・イワナの塩焼き・ を求めて竿を振るが・・・出ない、走らない・・で、
 結局ボウズ・・^^; やっぱり下流の滝が魚止めになっていたのかもしれません。

 まぁ、それでも初日の食材は豪華なアルファ米もあるし、途中のパーキングエリアで
 買ってきたベーコンの燻製、これを肴にまずは乾杯、 至福の時間の始まり始まり〜♪

■薪はそこそこ確保できた。乾いた薪や小枝も多くすぐに火が熾る。 タープを張ったら焚き火の周りに集まって贅沢な時間。 ウェアもすぐに乾きました。

■焚き火は沢の歓び♪
■喉の渇きも癒えて、落ち着いたところで焚き火のお出まし☆皆さん今日も一日お疲れ様!
 九州から夜を徹しての12時間ドライブで、2時間の林道歩きの末の入渓、遡行時間は
 4時間そこそこでしたが、イワナも見れて綺麗な水に接して充実した沢登りになりましたね。

 おつまみつまんでアルコールも回ると、睡眠不足のせいかまだ辺りはほのかに明るいのに
 ウトウト・・シートの上で少し横になるつもりがいつの間にか爆睡・・・暫くして 寒さでハッと
 起きた時は23:00、気温は4度以下・・シュラフにも入っていないし寒いはずだ。たまらず
 焚き火の側に寄って薪をくべる。

 焚き火の炎に温められた周りの岩は床暖房のように温かく、足先から伝わる熱が心地よい。
 ゴソゴソしているとマツジュンも綾吉も起きてきた、やはり寒かったのかな。火を囲んでお湯を
 沸かして紅茶を淹れたり、ショウガ入りのホットウイスキーを拵えたり、このショウガ入りの
 ウイスキーは中々いけたなぁ。 この時期の夜空は空気の透明感も手伝って極めて綺麗だが
 今宵ここから見上げる満天の星空は恐ろしい程の星屑だ☆東の空にオリオン座が上ってきて
 星座の舞台の役者は揃った。今シーズンも天気に恵まれ、頼もしい仲間とこの時間を共有
 出来た事に感謝。ひとしきり焚き火の側で暖を取って、三々五々に皆なシュラフに潜り込む。
 
 焚き火の側で寝転がり、今にも降ってきそうな星空を見上げる・・1個、また1個、流れ星が
 夜空に軌跡を残す、三つ目の流星を見つける前に寝てしまったようだ。少しして目が覚めた。
 さて、シュラフカバーに潜り込んで夢の続きを見ますかな♪ おやすみなさい。





●2日目朝・晴天雲ひとつ無し!



■朝から雲ひとつ無い晴天!眩しい青空が広がる。 今日の遡行が核心かも・・鬼が出るか蛇が出るか・・気合入れて、張り切って参りましょう!
   
   ■たぶん今現在、手に入る可能性のあるゴム底沢靴のオールスターキャスト☆
    黄色いのからキャニオニア2、柳又ステルス、 忍者ステルス、
    奥利根ステルス、飯豊ステルス・・・ ものの見事に皆バラバラ・・・^^;

    



 ■朝一番の水は殊更に冷たい・・; が、日が当たる場所では少し暖かな陽気が得られる。 足回りネオプレーンで固めているので足先は冷たくないですね。
 
 
 


             ■開放的で明るい渓を淡々と遡行☆ 上の二股を右股に取り、中山沢に侵入する。これから先何が出てくるか・・・!
 

        ■二股からしばらくで出てきた大滝! 左右共に岩壁に囲まれていて、しかも岩質が悪い・・とにかく脆くてボロボロなのだ。
        


■滝のすぐ脇の右岸壁に取り付いてみたが、触る岩全てボロボロで抜け落ちる。騙し騙し登ってみるがだんだんと落石のサイズが大きくなり洒落にならず、極めて危ない。
 仕方なく一旦降りて、少し下流の比較的安定しているように見える岩場に再度取り付く。 途中にブッシュの支点を取って50mザイル一杯延ばしてピッチを切る。

 
 ■中間部、傾斜の強いスラブにはホールドが乏しい・・この辺りが核心だった。
 
 

■50m上の小テラスで迎え入れるが、ジッヘル用のハーケンx2本打ち込むも信用はおけない。じわりと体重をかけるのが精一杯か。足を踏ん張り肩がらみでザイルを張る。
 

■巻き道から見る大滝連発とゴルジュ

 ■さて、こ右岸壁取り付きから始まった高巻きが地獄の高巻きの序章になった^^; 壁を登って
 支尾根上に上りこんで巻いた滝を見下ろすと、一段目2条の滝の上にもう2段連発していて、
 更にその奥には側壁が異常に発達したゴルジュを形成している。ゴルジュ内に滝が連発しているか
 どうかは解らないが、等高線から見るとそんなに滝の連発とは思えないが、あのゴルジュの
 真っ只中に降り立つにはザイルが足りないか?!

 とりあえず支尾根を詰めて大きく巻こうとするが、巻いても巻いても岩壁に突き当たってしまい
 左に左に追いやられてしまう。 もういい加減に軌道を右(南東)に戻さないといけないが、これが
 厳しい。 トラバースを繰り返し、壁に追いやられているウチにだんだん傾斜も強くなり、極めて
 悪いルンゼを登る羽目となった・・・、このルンゼは今までの経験上で最も悪いルンゼ、できれば
 引き戻したかったのだが、それも叶わない状況。 ルンゼの奥に詰まった岩に触らないよう側壁
 を中心に登高、更にブッシュ急斜面の登り上げると、見晴らしのよい尾根に出た。 目の前には
 木曽殿山荘が見え、奥二又沢左股(東沢)が見える。
 方向性は正しいので、沢に戻るべく一旦、2517mピークまで登って、沢に戻る事にした。
 2517mピークの目の前には、無名峰が見えるが空木岳ピークはその奥に隠れて見えない。
 徐々に高度を落として2200~2400m程の地点の沢に戻った・・ホッと一息。 
 実に、3時間を越える大高巻きでした・ ミナサン オツカレサマデシタ・・^^;



■上に上に追い上げられて、落石の詰まるルンゼにザイルを延ばす羽目に・・ その後も急斜面の高巻きが続いた。木曽殿山荘をこの角度から見れるのは貴重・?
 
 ■2517mピークからの展望、目の前の無名ピークの右裾に下りていく。
 



■沢に戻ってホッと一息・・冷たい天然水が旨い!水分と英気を補給したら あとひと踏ん張り頑張りましょう! 源流部は岩壁の発達したゴルジュ帯を形成していた。
 


■源流部の岩壁帯に連続する滝はどれも軽快に越えて行ける。 青空が眩しい。

        ■最源流部を遡行する・・・正面に中央アルプスの主稜線が見えてきた。
        


■水も涸れてガレ場の登高となる。 詰めの地形は予想通りカール状の草原になっていた! 時期が早ければお花畑になっていただろう☆
 

■縦走路に脱出! 空木岳目指して最後の登り・・ここまで≒10時間の行動。 日も傾きかけた頃 空木岳山頂に到着! この頃は少し肌寒く感じましたね〜。
 

■空木岳山頂小屋・・・駒峰ヒュッテ(素泊まりのみ)

■空木岳山頂に無事到着! 皆さんお疲れ様でした。 奥二又沢遡行完結、水の綺麗さ
 開放感、辺りの自然林・どれをとっても素晴らしい思い出の残る沢でした。初日と2日目の
 前半までは癒しの沢旅でしたが・・・大滝の大高巻きには痺れました・・^^; でもここまで
 抜けれた事で あの高巻きがスパイスの効いたアクセントになりましたね!

  さて、中央アルプス空木岳周辺では野営は禁止されている為に、山頂小屋か、もう少し
  南駒ケ岳方面にある摺鉢窪避難小屋が近いが、今日は見た目も綺麗な山頂小屋に
  泊まる事とした。

  中々大勢の登山者で賑わう駒峰ヒュッテであったが、一番最後に到着した我々に
  少しのラッキーがあって・・♪ 運よく5人分の場所が確保出来た!ここまで残して
  きたアルコールで祝杯をあげ、おつまみと食事を取った。 

  今回も小屋番である駒峰山岳会のおばさまに大変お世話になりました。
  本当にありがとうございました! 今夜も20:00消灯の前にウトウトしてしまい・・
  もう夢心地に♪ 皆さんおやすみなさい・・明日は大展望の中ア空中散歩ですよ☆



       ■3日目朝・・快晴! 駒峰ヒュッテ前から雲海に浮かぶ御嶽山が見える。
       


■空木岳山頂! 雲海が見事だ・・ 後ろ髪引かれる思いですね〜♪             ■空木岳山頂にて
 


■赤椰岳山頂から南駒ケ岳を目指す。           ■摺鉢窪避難小屋                     ■南駒ケ岳山頂


 ■南駒ケ岳山頂にて、御嶽山を背景にマツジュン、綾吉
 

          ■越百山方面の山並み・・・深い連山です。 面白そうな沢も沢山ありそう◎
          



■仙涯嶺から南駒ヶ岳・空木方面を振り返る。     ■山の恵みコケモモと名前不明な黒い実をほうばる・・甘くて美味しかった! ■越百山まで最後の登り!


■今回の縦走の最後のピーク越百山山頂にて!お天気はここまで最高のままでした◎これから一気に下って、伊奈川ダム方面へ・・年中営業の越百小屋。


■伝説の満腹食堂ポーズ◎

 ■奥二又沢から主稜線脱出〜中央アルプス空木岳〜越百山縦走を経て無事に下山! 
 三日間の晴天に恵まれ綺麗な水の沢にも恵まれ、豪勢な焚き火に、満天の星空☆ 
 最後にはアルプスの山並みを大展望できて最高な沢登りになったと思います。 
 今回の目玉のイワナの塩焼き&刺身は・・・もうちょっと下流のヤツをキープしておけば
 良かったかもね♪ また次回のお楽しみが倍増したと言う事で・・☆

 とにもかくにも全員無事に福岡まで戻れた事、誠に大慶! 今年もあと少し沢に親しむ
 チャンスが出来るかもしれませんね! 今度は紅葉真っ盛りの源流逍遥かな♪
 
 それでは皆さん、また豊穣の森でお会いしましょう。 



■時  期  :  2009年 9月19〜21日
■地  図  :  空 木 岳
■メンバー :  天唐、 マツジュン、 ミチヲ、 綾吉、 SG












                                                          






































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