おもうち谷支谷・ 大藪谷〜 新百姓山    (2012.05-06)

■2012年5月、GW時期に緩み始める渓谷の水に誘われ心も体もソワソワしてくるのは沢屋さんの性分今年も沢始め神事の季節になりました。
 シーズン当初の沢に求めるのは 癒し・新緑・季節の花々・豊かな源流逍遥・・でしょう、こんな条件を満たしてくれるのは脊梁や祖母山系、
 大崩山系の渓谷でしょうか◎

 そんな中でも新緑とアケボノツツジとヒメシャラ・ブナの原生林を楽しめて、癒し系の沢と言えば・・
新百姓山界隈の谷ではないかな・・と、
 おもうち谷の支谷に興味が沸く♪ 以前遡行した第1支谷も癒し
の優しい谷だったが、その隣の「大藪谷」も中々面白そうな等高線を晒している。
 新百姓にスパッと抜ける
潔さも魅力だ。 前日は、おもうち谷本流側に前泊し早朝出発〜 さて何が出るかお楽しみ♪


■入渓地点はその昔、おもうち谷に架かっていたであろう沈下橋の地点。今ではもう朽ち果てて居て、かつての面影も無いが僅かに残るコンクリート部分が在りし日の
 橋梁の姿を思い浮かばせる。
ここから右岸に付けられた作業道を取って、真新しい堰堤を三つ越えた先から入渓〜さて始めますか◎
 入渓早々に釜付きの小滝が現れる。盛夏ならジャブジャブ浸かって正面突破にお手ごろの滝だが・・5月初旬の水は冷たい・10秒入っていると痺れそうになるので
 滝の右壁から巻き上がる。
しばらく遡行すると大きな二股、右股は規模の大きな斜滝で出合い、左股は直瀑布三段滝を落す。今回は山頂に近い左股に進路を取る。


■左股の三段滝 上部が見えないが壮観な滝姿である。               ■右股の斜滝連瀑帯・・ この上部にゴルジュらしい気配が・・次回のお楽しみ!?
 
 ■一段目のテラスで作戦会議! 正面滝右壁を登ろうとしたが・・結局左巻きに。
 

■正確には4段滝だが最初の1段目はほんの5mくらいの斜滝で左側をフリーで乗越す、0Pか。さて1段目の正面に立ってしばし観察。滝の右壁が取り付けそうだが・・
 ブッシュに隠された部分の
状態が判断で出来ない。 付近を見ても明確にプロテクションが取れそうな岩質では無いようだ。全体的に岩は安定してそうだがリズが細い。 
 人数も多いので左側ブッシュから滝寄りに巻き上がるが
傾斜もやや強いのでザイルを出す。
 (※実際には最初8mマスターテープで登ったが最初からザイルを出すのが得策)

 尚、滝付近の登攀についてはコールが通り難い為、極力20m以内でピッチを切る事とした。フィックスを張るについて、アンカーとなる立ち木やピナクルまで距離がある
 箇所が多い為、
ザイルは50mを利用するのが良い。



 ■1ピッチ(15m)
 実際には2ピッチに分けたが、ザイル1本=20mで滝落ち口まで伸ばせる。

 浮石に最新の注意を払いながら、しっかりした立ち木と根っこでピッチを切る。
 (※特に右側、滝寄りには浮石が多そうなので要注意)


 ■2ピッチ(15m)
 1段目の落ち口横から 2段目取り付き点へのトラバース。出だし、足元がスパッと

 切れているので少々スリリングだが、ホールドになる木や根が多いので落ち着いて
 渡れば
問題ない。1ピッチ目終了点にシッカリした立ち木が複数あるので、
 ザイル折り返しで
フィックスを張り全員カラビナスルー・ダブルでトラバース、
 広く安定したテラスに出る。


 ■3ピッチ(20m)
 2段目直瀑の右側にスッキリとしたスラブ壁が発達しているのでこれを登る。

 出だしから暫く、極小ホールド&スメアでのスラブ登りは体感4級−ぐらいか!?

 プロテクションは取れないので、ビレイヤー位置でシッカリセルフビレイが必要。

 ≒8mも登ると傾斜緩みホールドも多くなる。正面の岩峰を右から回り込むように

 上部に出てピッチを切る。(岩峰の左側ルンゼが登り易そうだが浮石が気になる)


 ■4ピッチ(20m): 
 3段目の滝寄りに登り易そうな岩稜カンテが延びているのでこれを伝う。
 10m
程伸ばした
箇所から滝の落ち口寄りに明確な凹角があるが、これは傾斜強く  
 苔むして使えそうにない。
 よって右側ブッシュ方面に伸ばし小さなテラスにある
 立派な立ち木でピッチを切る。




 ■5ピッチ(10m)
 3段目滝の落ち口付近まで来ているので、ブッシュを伝いトラバース気味に滝上の 
 
テラスに出る。 テラスに抜ける最後の2歩がちょっといやらしいので、
 手前の
立ち木を股越すのが良い。




■2ピッチ目 トラバース地点。 中々スリリング。                       ■3ピッチ目取り付き点への小滝・・右壁がスラブ末端。
  



  ■3ピッチ目: 滝右壁のスラブ・・・ 取り付きから暫くのホールド&スタンスが微妙・・この数手がW級ぐらいかな。
  


              ■この位置まで登ってくれば傾斜緩み、手掛り豊富となる・・・ホッと一息。。
              




       ■4ピッチ目:岩稜カンテ地点 このまま滝寄りに抜けれそうかと思ったが、抜け口が悪い・・・ よって右側ブッシュへ入ってピッチを切る。
  



■5ピッチ目のトラバース・最後の2歩が滑りそうで^^;             ■滝上の安定テラスにて。2足歩行の癒し系の沢・の誘いに乗せられた沢屋さん達・・(笑)
   



                           ■三段滝より上流の開けた渓相。 斜滝が連続する快適な区間。
  



■斜滝・小滝はどれも心地よく直登で越えていく。                        ■シャワーも快適・・・ちょっと水が冷たいかな。^^;
  
 



■廊下状の渓相                                          ■この斜滝は左側から越えるのがお得。
  



■岩のフリクションは極めて良いが、所々 水の中でもヌメル事がある・・          ■開けたナメで一休み♪
  



                   ■谷が徐々に源流域の様相へとなる。 岩石に埋もれ、荒れている箇所も見受けられた。
  



                  ■沢詰から尾根へと這い上がる箇所からは予想通り、新緑と原生林が見事だ・・爽快な尾根。
 
 ■艶やかなミツバツツジ
 




■サラッと抜けてしまうのがもったいないような・・・ そんな味わい深い原生林帯の素晴らしい尾根◎     ■綺麗なヒメシャラの林が出てきた!
 
 ■山頂直下の縦走路へすんなりと飛び出す☆
 



■新百姓山頂! お疲れ様でした。


 ■快適な尾根を抜けて新百姓山頂に到着!皆さんお疲れ様でした。いやいや本当に
 快適な尾根でした◎

 当初この沢の入る際、「沢歩き中心の癒し系の谷・・2速歩行に終始する易しい沢」・・・
 との謳い文句で乗り込んだがなんの、下部二股に架かる三段滝の処理にはかなり
 時間と神経を使いましたが・・・あの三段滝が、この谷のハイライトだったと思います。
 それと、山頂付近に広がる素晴らしい原生林ですね☆

 全体的に短い谷なのですが、下部登攀にはかなりの時間がかかりました。。。 
 今回、早出で臨んだのが大正解でしたね♪

 今年の沢開き・・・ 無事に完了し何よりでした。 

 それではまた、未知なる渓谷でお会いしましょう♪ 御機嫌よう◎



●さて下山は、新百姓山から西に伸びる尾根を拾って入渓点まで戻る計画。。この尾根が最初、両端にスッパリ谷が切れ込んでいる為、明確で分かりやすい。
 ひたすら西に向かい標高1000m付近で南西に進路を取る。 この下降尾根を縫うように林道が発達しているが、下降尾根を外さないように林道を横切って
 尾根をトレースすると、入渓点まで導いてくれる。 







■時  期  :  2012年 5月6日
■地  図  :  見  立
■メンバー :  watasuge, masu, miwa, kero, ayakichi, sg




                                   
                         




























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