剱岳・チンネ左稜線 〜北方稜線〜剱本峰  (2013.08.09-12)

■2013年夏!今年の夏山はもちろん剱岳。これまで夏剱行っては見たものの晴れたためしは無く、剱岳の姿すら拝めた事が無いと言う、誠にもって気難しい山。 
今回の計画は主たる目的である剣沢野営地をベースに
一泊し、翌日深夜から行動〜長次郎谷を詰めて池の谷ガリーから三の窓経由〜チンネ左岩稜に取り付く予定。
また下山は、北方稜線を辿り剱岳本峰を踏んで別山尾根を下山〜剣沢に戻る計画。 実はここの所、右膝にちょっとした故障があり、若干の痛みが出る局面がある為、
登高〜下山のスピードアップが
出来るか否か一抹の不安を抱えていた事もあり、チンネ下山後、北方稜線上の適地でワンビバークを想定した装備で臨んだ。
列島は晴の長い周期に入っている為、天気はおそらく問題ない筈。ルーファイ含め首尾よく
チンネ左稜線登攀できましたらお慰み!


■いつもの様に車で富山を目指すが、さすがに最近は何となく近く感じるようになってきた・・慣れとは恐ろしい物です^^;福岡を9日の15:00に出発〜福岡ICから乗車、
 古賀SAで剱御前小舎へのお土産を調達しあとは一気に行く。
自分の中では兵庫県@「赤穂」 まではノンストップで走るツモリでしたが、トイレが近いと言う弱点を
 持っている関係上・・(笑)、
 2度ほどトイレ休憩を挟み一路、立山ICを目指す。 道路事情も良く、大凡12時間ちょいで立山に到着。ここからケーブルカー〜
 美女平高原バスと連絡して室堂に着く。 多くの観光客や登山客でひしめく中、雷鳥沢テンバを
通過〜剱御前小舎で心平さんにご挨拶をして、剣沢野営地へ向かう。 
 登攀道具が詰まるザックでの久々のボッカ
に加え、膝の事も心配だったが順調なペースで室堂から剣沢まで2時間30分程で到着。ここで、ある主たる目的をこなす。


●ファイントラックのツェルトは中々快適でした☆     ●山岳会の方々がピッケルでスイカ割りに興じていた♪楽しそう!  ●綾吉’s テント@ゴアライト


■11日深夜02:00。綾吉に起こされ外に出てみると満点の星空の下、剱岳がくっきり浮かび上がっていた☆完璧な快晴だ!チャチャっと準備を済ませて03:00行動開始。
 月明かりとヘッデンを頼りに剣沢を下降し長次郎谷の出合まで下る。源次郎尾根に向かう先行パーティー4〜5人組が尾根末端に取り付いていた。真砂沢方面からは、
 八ツ峰・上半をやる45人パーティーが登っていて
今の所チンネ組は居ない。4時頃から長次郎雪渓の登高に入ると、辺りは徐々に明るくなる。
  

■最初は傾斜も緩く2足歩行で淡々と進むが、熊の岩を通過する辺りから徐々に傾斜も増して、ピッケル杖持ちでは心もとなくさえ感じピックをザクザク刺しながら雪渓を
 詰め上がる。熊の岩には沢山のテントが張ってあって、長次郎谷右股を詰める人影も見える。
傾斜の増した雪渓にあえぎつつやっとこさ登り詰めて池ノ谷乗越に到着。 
 ここまで剣沢から4時間20分ぐらい・・・
いやはや思った以上に厳しい雪渓登高でした。 後から振り返ってみても、今回のチンネ左稜線登攀では、アプローチ〜登攀〜
 下山を含め、この長次郎谷の
雪渓登高が一番の核心で且つ、最も神経を使ったような気がしました・・・ヤレヤレ^^;
  



■時折ガスが出てきていたが、長次郎谷右股の詰めが見えて来た頃、天候は快晴となった☆   ■池ノ谷乗越
  

■今回の足回りはキャニオニアSAR と、BDの軽量アルミ10本爪アイゼンのセット。キャニオニアは、夏山登山靴やアプローチシューズとしてよく使っているが、
 さすがファイブテンの底力・・と言うかステルス・ハイブリッドが見せる
岩場でのフリクション性能は多分、他の追随を許さないと思う。荷物を背負っての登攀で
 出来るだけ軽量化したい事と、登攀終了から下山までの岩稜帯の歩きを考えると、一般登山靴より遥かに軽い、キャニオニアが良いと思った。
 今回初めてキャニオニアに12本アイゼンを組合せて
みたが、長い雪渓登高中、外れる事も無く心地よい歩行が出来た。が、池ノ谷ガリーでガレ場で揉まれて
 いる時に
左側のアイゼンが外れた。
 これは試し履きの時にも少し感じたのだが、ファイブテンのアプローチシューズ系・・・
キャンプフォーや、イグザムガイド、それにキャニオニアに共通する
 ヒール部分の形状と、ブラックダイヤモンドの
ネーベストラップ超軽量アルミアイゼンの相性があまり良くないようだ。ポイントは出来るだけキッチリ、小さめに
 アイゼンを縮めてセットアップして装着する事か!>? 
おそらく、モントレルのハイカットアプローチシューズや、スポルティバのボルダーXハイカット等との相性は
 良い
と思います・・・。試した事無いので何とも言えませんが。   (※最も、沢で履くキャニオニアにアイゼン装着の想定はされていなかったでしょうが^^;) 

                        


■池ノ谷ガリーのガレ場を下り、三の窓に出る頃には、雲一つない晴天が広がる。目的のチンネが目前
に聳え立ち、先行パーティーが登っているようだ。 
三の窓雪渓をトラバースしながらチンネ左岩稜取付きに着き、
登攀装備に身構える。



■池ノ谷ガリー                                              ■大きく口を開けた 『三の窓』
  



     ■背後は三の窓。 チンネ取り付きへ雪渓をトラバース
     




■顕著な岩峰! スカイラインがチンネ左稜線                            ■チンネ1P出だし。  (※たぶん2P目じゃなかろうか!?)
 

  ■チンネ左岩稜取付き。 パラパラと打ってあるハーケンが見えるので、
  適当に登りやすい箇所を登り始めるが、荷物を背負っての登攀はやはり
  ちょっぴり厳しく感じる。 ・・・が、 『取付いてしまえばコッチの物!

  何たって比叡・鉾で鍛えてもらってるんだから!』・・・と、自分自身に
  言い聞かせつつザイルを延ばす。

  最初のピッチが釈然としないが、おそらく2ピッチ目からスタートしたの
  では無いか!?と思える。。凹角っぽかったし。
  最初の2ピッチまで私がリードし、身体もほぐれてきて以降は
  綾吉とツルベで登る。


■1〜2P をフォローする綾吉。                                     ■3P以降のルートを見上げる。
  



■圧倒的な岩峰! 水平移動し左下末端に取り付く。 程なくして、先行の3人組@宇都宮パーティーに追いつくが、快く先を譲ってくれた。 ありがとうございました!
 
 ■8P目もぐいぐいザイルを伸ばす綾吉!
 



    ■素晴らしい景色☆ 左手にクレオパトラニードルを従え、中央にそそり立つチンネ核心部岩峰!
    



■絶景の中のビレイ☆ 背後奥は、白馬岳から不帰の稜線                   ■T5付近、核心部手前の綾吉。
 



■ 11P目。 名物@X級ピッチ・・・ チンネのアクセントとなっている。             ■完璧な快晴の元、小ハングを越えて行く。
 



■背景、三の窓雪渓。 核心部をフォロー                           ■12P : リード綾吉。 このピッチは中々面白いクライミングでした☆
  



    ■アルプスの大景観にしばし見入る・・・こんな景色の中のクライミングは病みつきになりそう! 背後右側の双耳峰が、鹿島槍ヶ岳☆
    



■最終ピッチへのピナクル群を攀じる。                              ■チンネ左稜線のテッペン! やりました!!
 

■チンネ左稜線完登!お疲れ様でした!アルプスの大パノラマの中、とても快適なクライミングが楽しめました☆最終の3〜4ピッチ目で若干の渋滞に遭いましたが、
 この絶景に中に居るだけで幸せでしょう☆ さて、完登の悦びを噛み締めつつも下山にかかななければならない。。 この日、ビバーク装備は持参していたものの、
 実はこの時点で水が切れかかっていた。。。雪渓の水も取れるだろうが、時間的に剣沢まで戻れそうなので、急いで下山する。 チンネの頭から左手方向に顕著な
 踏み後があり、歩いて鞍部に降りれる。 そこから池ノ谷ガリー方面に降りる為のラッペルポイントがあるので、懸垂で池ノ谷ガリーへ降り立ち、下りて来たガリーを
 登り返し、池ノ谷乗越に上り、北方稜線を辿りつつ剱岳本峰を目指す。。が、長次郎の頭への登りで、とうとう水が切れてしまった・・・水は充分に持参したツモリ
 だったが、予想以上の暑さと照りつける太陽光線に、水の消費量も増えてしまったのだ。さてこれから先は水切れでヘロヘロになりながら、北方稜線を登りあげる^^;




■池ノ谷乗越に這い上がる。 ■北方稜線上の雪渓、ありがたい! 水切れの身に神の助けか!? ここでひとしきり雪渓を食べ、雪で顔・頸を冷やし英気を養った☆
  



■しかしながらすぐに喉は乾く^^; 源次郎尾根が近くなってきたので本峰も近い。       ■やっとこさ剣岳山頂に到着。久々の剣岳山頂、感動的な瞬間☆




 ■剣岳山頂を踏んで感動に浸りつつも、下山を急ぎたい。。 何たって水切れの身である、
 少しでも早く水が欲しい所だ。 別山尾根を下山しながら、登山道近くに雪渓があれば、ゴソゴソ
 寄って行ってはガリガリ雪渓を頬張る。。 これが実に旨い! 瞬間だが喉の渇きが癒されるのだ。

 一服剣を経て、辺りが薄暗くなり、コバイケイソウの白い花が闇に浮かぶ頃、剣山荘に着いた!
 お茶にビール、カルピス、キリンレモンなど手当たり次第に買って、渇きを静める・・生き返った☆

 今回のチンネ左稜線登攀から剱岳を経由して剣沢まで周回するコースは、かなり体力を要する
 厳しいコースだったと思うが、パートナー@綾吉の頑張りで何とか完遂できたのだ。
 いつもはもっとヘロヘロになる所だろうが、『ノルと強い綾吉』 ・・今日は目つきも違い、スピードも
 早かった! 何たって全行程 16時間を超す強行軍の中、パン1枚と饅頭1個で精神状態を
 切らさずに歩き通した事は見事でした◎ 長く厳しいアプローチを経て、チンネを登り切り、岩稜帯
 の北方稜線を淡々と辿る姿を見ると、さすがに感動しました☆ 
 綾吉っちゃん、お見事でした! お疲れさん☆




■さて、最終日も晴れの中、名残惜しい剣沢を後にする。
  



      ■剣御前小屋から立山方面の展望 ・・・  中央最奥の高い山は、白山。
      




     ■ありがとう、剱・立山! Mケルン☆   また来るよ!
     






■時  期  :  2013年8月9日〜 12日
■地  図  :  剱 岳 
■メンバー  : ayakichi, sg





  
                                                  





















inserted by FC2 system