〜脊梁山地・神輿地区起点〜
時雨岳〜白鳥山〜峰越〜ぼんさん越・周回



■2013年・深まる秋☆記録的な猛暑で列島を沸騰させた夏から一転、秋は過ごし易い気候になったかと思うと、今度は一気に冬型も強まり冷え込んできました。
 先々週の裏英彦山の紅葉も見事でしたが、やはり晩秋の趣は脊梁にあり・と言う事でやってきた脊梁山地!山中で過ごす一夜・見上げる星空を愉しみたい◎
 当初は雷坂から がつかり峠方面や、横才越界隈で佇むか・とか、霧立越の晩秋も考えましたが、やはりココ・・お気に入りの白鳥界隈を彷徨う事になりました。
 そして出来れば円を描いたように周回できるとありがたい・・などと考えてて、ある時ふっと思いついたのがこの、神輿集落起点での周回縦走!これはGood!!
 ふかまる秋を愛でつつ、椎葉村の奥地から、好みの斜面、林道を拾って高みを目指すと・・・ そう、思いがけない出会いもあるものです☆☆☆ 
 子曰く ・・・ 「沢屋も歩けば婆ちゃんに当る◎」  さて、参りましょうか♪



◆黄金色の銀杏が綺麗な、椎葉村神輿地区で一泊登山登山の装備に整え、いざ出発! この日の天気は快晴無風☆ 澄み切った空気の中、景色を愛でつつ
歩き出す。神輿集落最奥のヘアピンカーブの箇所に涸れ沢が入っていて大きな堰堤が見える。まずはこの沢に進路を取り、その後は林道や踏み跡や、藪尾根
を拾いつつ、徐々に高度を上げて行く。 いやいや自由気ままなこんな登山スタイルは実に愉快☆


 

 




■遠目では突破不能に見える大堰堤でしたが真下まで進むと活路が開ける・・・まるで渓谷で出遭う滝みたい♪ それから踏み跡を拾い、藪を漕ぐ。



■時折出てくる林道を更に横切り、時には植林地を登る。振り返ると椎葉の山々が連なる。遠景は烏帽子岳〜五勇山の稜線!明日はあそこを歩く予定・だが!?
  



■藪踏み跡から、林道を拾ったり、伐採地やら鹿除けネット際を拾って登ったり、自由自在☆ すると進行方向の山の中から人の声が聞こえてきた!!
 
 ■最初は鹿撃ちの人かと思ったら、人の好さそうなお婆ちゃんでした!
 
  



■しばし、キノコ採りの方かな・・・!?と、思わしき婆ちゃんと話し込んむと、どうも採っていたのはキノコでは無くて 「土」だったようだ。 このお婆ちゃんの話では、
この付近の土は 「いもこつち」・・と言って、食べられるそうだ! うそーー!! まさか! とは思ったが、あまりに熱心に進められるので一同、頂く事となった。
隣におられた若い男女のペアは、広島から焼き畑農業を学びに来た若者らしい!

  


■これが『いもこ土』の正体だ! ただの赤土では無いよ♪
■この時、「このお婆ちゃん・・・どこかで見た事あるような!?」・・と少し頭を横切ったが、何たって
 「土を食べる」・と言う離れ業に驚いて、一同 黙々と差し出された土を食べた。
 『ほらっ、見て!この土、キラキラしとるやろ☆☆」・・と言ってどんどん土を差し出すお婆ちゃん。

 『遠慮せんでいいけん、どんどん持っていきなさい♪』・・と、とても親切!?な婆ちゃんに勧められた
 「いもこつち」は、正直・・最初は土の味がした・・^^; しかし、不思議と口の中に残らず、消化できる。
 それでもう一口食べる・・ふむふむ。 どうもこの地区では昔から、そば粉と合わせて蕎麦を打って
 食べていたらしい。 いやはや実に貴重な経験をさせてもらったものだ・・とその場は丁重にお礼を
 述べて別れたのだが・・・ 帰ってから、ハバネロさんが調べた所、何と何と!この婆ちゃん、あの有名な
 椎葉クニ子さんだったのである!! 何と言う偶然!☆

 クニ子婆ちゃんと言えば、日本で最後に残った、ただ一人の焼き畑農業の伝承者。 椎葉に根差し
 地元の山々から恵を頂いて来られた。 本にもなっており、NHKスペシャルでも特集を組まれた
 そんな凄い婆ちゃんだったのである。クニ子婆ちゃん、ありがとうございました◎

 ☆ 『クニ子おばばと不思議の森』 ☆




■さてさて、土を食べる・・と言う、イリュージョン的な経験をさせて頂いた後はまた、藪・ソマ道を拾って高度を上げると、峰越の舗装路に出た。なのでしばらくは
 この峰越林道を時雨岳登山口まで歩いて、登山道を取って時雨岳山頂を目指す。




■峰越からの登山道は沢沿いを直線的に伸びているので、かなり登りの一本調子で堪える・・^^: ひと喘ぎで時雨岳山頂へ☆
  



■鹿除けネットで護られた時雨岳山頂!皆さんお疲れさんです☆ ここから白鳥山へは石灰岩が鏤められた快適な縦走路なんだけど・・何と!!重機が入って
林道が縦走路を横切っていた! 何で、何で・・・!?!? とうとうココの道をちょん切られたようだ。




■気を取り直して、白鳥への道を淡々と歩く。 後姿のしぐれ具合がよろしいようです◎   白鳥山山頂! 山頂記念写真に写るヤッピーさん♪ 綾吉撮影・・☆
 

 




■白鳥から峰越へ向かう沢沿いに水場を求め、一晩の宿をお借りする。かなり冷え込んではいるが、まだタープで充分だ。 夜は渓谷でささやかな焚火を灯して、
 歓談に花が咲く☆ 夜中・・天上真上近くに上がった月の明かりで、ヘッデンも要らないくらい森は明るい・・☆☆ あぁ、これが至福のひと時と言うものだ。





■翌朝、天気は下り坂で、ぼつぼつ雨も落ちてきた。峰越への道へ合流する為に、ちょっぴり藪を漕ぎ、後は快適な縦走路を下る。
  



■峰越に着く前には、雨は強くなり、烏帽子岳方面に進むと、とうとう本降りとなった。 当初の予定ではここから、烏帽子岳〜五勇山と回って、萱野方面に下山する
 予定だったが、雨脚も強くなったので、ぼんさん越から尾手納集落へ下山する事とした☆




■趣深い『坊さん越(ぼんさんごし)』の路。 五家荘と椎葉を結ぶこの峠道はその昔、五家荘にはお坊さんが一人も居なかった為、
 何時には、椎葉の日添地区にある称専坊寺からお坊さんを呼んで、共にこの峠を越えてきたと言う。帰り道、峠のてっぺんに焼酎を
 デポして、お勤めが終わられたお坊さんと共に酒を酌み交わしまた、その場所に置い来たらしい。ぼんさん峠に置かれたお酒の瓶は
 まさに、「ボトルキープ」の始まりでもあったのかもしれませんね。

  



■ついに本降りとなった雨の中、ひたひたと下山する。ぼんさん越の路は今では途中まで車で入れるくらい整備されている。はしゃぎまわる懲りない面々・(笑)
  



■舗装路をしばし歩くと尾手納の集落に出て、神輿地区までたどり着いた。 みなさんお疲れさんです。


◆晩秋の脊梁山地逍遥の旅、無事下山で皆さんお疲れ様でした。当初の予定の烏帽子岳〜五勇山は踏めませんでしたが、何たってあの「椎葉クニ子おばば」との
 出会い、 そして趣深い「ぼんさん越」の路を歩けたことは誠に大慶! 本当に良い山旅が出来たと思います。 人生万事塞翁が馬・・・ 一期一会・・☆
 この日、この時、このメンバーでたまたま向かった椎葉村奥の神輿集落から味気ないコンクリート堰堤を越えて、藪を掻き分けたからこそ叶った「人」との出会い。
 
 いやはや、人生とは誠に面白いものですなぁ〜♪  それでは皆さん、また妙なる峠道でお会いしましょう。







■時  期  :  2013年11月16〜17日
■地  図  :  不土野 ・ 国見岳
■メンバー  : habanero, yappy, cha, poo, kero, ayakichi, sg





                                                        


































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