市房山東面・そごう谷中股~二つ岩   (2015.09.20-21)

◆お盆を過ぎて一気に秋めいてきた九州地方ですが今年は日程の都合等で中々、沢中一泊行程の山行に行けず、このSWのチャンスに何とか計画出来た。 
 向かう先は市房東面そごう谷中股。随分前から考えていた地域で、この界隈の
地形・ソマ道・作業道にとても詳しいキャメちゃんからのお誘いアドバイスも
 ありつつ、やっと実現出来ました。
前後数日間に雨予報無しで天候には問題無く、二つ岩東面源流部に広がる湿地帯の楽園での一泊を目指しいざ!
 一ツ瀬川を渡渉~そごう谷左岸の水道管から入渓。


◆出合早々に多段に架かる斜滝は、どれも直登でき、その先の滝は左から高巻き。 広い沢筋に青空が気持ち良い☆威厳ある大滝☆ 
 右岸を少し戻って支尾根の踏み跡まで高巻く。いきなりの高巻きも中々悪い・・^^;




                               ◆出合いは連バク帯で始まり、どれもシャワーで越えれる☆
  

  

                       ◆直登不能の滝を高巻いた後に出てくる釜付の斜滝。これも軽快にこなす♪
  



 
    




  



                               ◆左股侵入直度の滝も、直登可能!
  



◆左股に架かる大滝☆ 右側のクラック沿いに活路があるやに見えるが、、登りませんけどね^^; この滝を右岸から高巻いた先から中股に侵入
  



◆これは滝の左壁が登れそうだったけど、時間が気になり高巻き☆
  




  


        ◆傾斜の強いナメ滝・・・この付近から花崗岩質の沢となり、湿地帯の桃源郷の始まり~いやはや実に趣深い日本庭園の様相だ☆
  



   ◆実に爽やかなナメ滝区間が続いた☆
  


                          ◆源流部に広がる湿地帯の楽園で、今宵は夢を繋ぐ☆
  




◆この萱原山~二つ岩~市房山界隈の源流を歩くに、市房山山系の山頂付近には花崗岩が露出している箇所が目立つが何れも風化が激しく、脆く崩れ易い。
 風化した花崗岩は真砂土となって山頂付近の表層土壌を形成しているようだが、これが森林伐採により土砂を保つ事が出来ず崩壊、主稜線の西面、東面の
 渓谷に流出したのでは無いかと思う。流出した土砂は、傾斜が緩くなった源流部の岩石のすき間を埋め芝や柔らかな草等、下生えの土台として発達、
 これがえも言われぬ日本庭園のような絶景を造り出したのではないだろうか。


 
これは石堂山~樋口山でも見れる事だが、この一ツ瀬川を挟んだ両側の山の稜線付近には異常にアセビが目立つ。二つ岩前後の主稜線には
 アセビ以外の樹木が見当たらない程だ。アセビ(馬酔木)は、アセボトキシンと言う毒を持つ有毒植物である為、鹿も食べない。結果、その他の樹木が
 鹿の食害に遭いアセビだけが残る。つまりアセビが著しく繁殖している地域は、草食動物の食害が激しい地域であるとの指標になるわけだ。


 
元来、乾燥した土地を好むアセビは、沢筋などの湿った場所ではあまり見かけないが、この地域の源流部楽園湿地帯にアセビが多く自生しているのは
 おそらく、伐採や鹿の食害に遭った稜線が真砂土表層を支えきれなくなり、唯一残ったアセビごと土壌が源流部に流れ出したのでは無いか・と想像する。 
 これほど人工構造物が見当たらない沢にあって源流部に至るまで谷の底に砂が多く堆積しているのも、これで頷ける。しかしながら九州でも他に類を見ない、
 沢屋にとっては地上の楽園とも思えるこの源流桃源郷は実に美しく優しい。季節を変え、支谷を巡り再訪してみたいと思う秀逸な渓谷である事は間違いない。



◆翌日の沢詰め・・・ この先から支尾根にあがる。緑の低灌木は全てアセビ。         ◆そごう谷左股源流部を俯瞰。
 

●沢詰めから支尾根に上がり、萱原山~二つ岩の主稜線までアセビの藪を漕ぐ。しかしこの主稜線の崩壊が激しい。その昔、市房山~二つ岩の北東面は
 大規模な伐採(完伐)に遭い、土砂を保てなくなった山体は稜線付近から崩れ、
山容崩壊の山として知れ渡る事となった。
  
                                              ●背景の常緑樹も全てアセビ。


                       ◆スリリングな区間が続く。 これはもう使えない縦走路だ。
  



                          ◆山頂直下の悪場をロングスリングで越えるとすぐに二つ岩山頂☆
 



◆シオガマギク
◆この二つ岩までの危なっかしい稜線の崩落地に、シオガマギクが咲いていた!
 自然の状態で自生しているのは初めて見ました☆
 この少し手前に濃い紫で可憐なツクシイワシャジンも咲いていたのですが、
 落ち着いて手が放せる状態では無く、撮影はできませんでした・・・残念 ^^;

  さて下山だが、二つ岩山頂から東に伸びる尾根を拾い高度を下げるがここにも
 馬酔木の藪は濃く、尾根筋を外しそうになる所を微調整しつつ地図の破線上
 にある1084ピークを目指す。 1084ピークからは徐々に南東の尾根に進路を取り
 破線の道とは分かれて植林帯を下ると、目前を横切るようにソマ路(作業道)が
 出てくるのでこれを忠実に拾うと一ツ瀬川まで導いてくれる。

 この道を 「きゃめる道」・・と呼ぶ。 この方面にめっぽう強いきゃめちゃんが
 見出した作業道だ。 何でも反対側は境谷方面まで延びているのでは無いか、、
 とも思われているようだ。
 
 このきゃめる道、傾斜はそこそこ強いが、ツヅラ折れに道はつけられ、林業従事者
 の印なのかピンク色のテープも随所に見られるのでわかりやすい。



◆1084ピークには大きな鉄の輪が置かれている。良い目印だ。   ◆850ピーク台地からテープが多くなり道も明瞭となる。。。が、傾斜は強くツヅラ折の道となる。




 ◆かくして無事に下山! 皆さんお疲れさまでした☆
 市房東面@そごう谷はとても感じの良い渓谷でした。 この一ツ瀬川本流から
 車道に上がり込むまでの、ちょっとした樹林帯に・・・居ました。。

 ヒルの密生地ですので皆さんお気を付けください♪

 それではまた妙なる渓でお会いしましょう。





◆時  期  :  2015年 9月20日~21日
◆地  図  :  市房山 ・ 石堂山
◆メンバー  :  cyame, cha, hyaku, poo, wata, kero, ayakichi, sg



                        


                                                   






























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